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大津留公彦さんからトラックバックいただいた「サダム・フセイン『悪魔のダンス』を読んだ」は非常に興味をそそられる記事でした。イラク戦争で捕らえられ処刑されたサダム・フセイン大統領は、小説家でもあって、すでに3冊の著書があり、4冊目が遺書にように書かれていて、2006年に日本語で出版されていたというのです。出版されたこの本はフィクションの歴史小説であり、ローマの力を借りた邪悪な勢力に対するアラーの神に忠実な族長との権力闘争あり、ラブロマンスあり、家族愛ありの、楽しめる小説のようです。しかし最後の章はツインタワー炎上となっていますから、時代をワープした現代への批評も含まれているのでしょう。 大津留氏は、サダム・フセインには作家としての才能があった、少なくともブッシュや麻生には書けそうもないと述べています。無慈悲な圧制者というイメージしかなかったフセイン元大統領に、このような一面があったとは、私も全く想像できませんでした。 小説家だから善人だという保障はありません。むしろ小説を書くような、想像力を緻密に組み立てられる頭脳を持った人物が政治の独裁権を握ったら、危険でもあるかもしれません。しかしこのような作品を残した事実は、元大統領が、さっさと殺してしまう以外にどうしようもない下劣な人間だったという評価とは異なる人物だったことを示しています。 ひるがえって考えると、アメリカがイラクを攻めた3つの大きな理由、すなわち「大量破壊兵器を保有している」「アルカイダとつながりがある」「アメリカを攻撃する意図がある」は、いずれも根拠がありませんでした。そして、捕らわれたサダム・フセインに対して、公正な裁判と厳正な刑の執行が行われたのかどうか、私たちにはほとんど情報が伝えられていません。 往々にして力は正義となります。アメリカの正義は、いま世界を覆っています。アメリカの軍事力で葬り去られた一つの独立国の大統領の評価は、将来、別な正義の下で変ってくるのかもしれません。いまこの小説は中東では厳しく発売を禁止されており、自由に読める国は、日本だけではないか、ということです。 (plala Broachに掲載しているものと同じです) http://pub.ne.jp/shimura/ |
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